昔に比べると働く女性が多くなってきた今日,共働き世帯も同様に増えてきている。(世界的に見るとまだまだ女性の社会進出は少ない方だが)
夫婦共働きは非常に難しい。
なぜならば,二人のキャリアをどう優先するかという問題が生じるからだ。今はまだ壁にぶつかってはいないが今後ぶち当たりそうで密かに不安に思っている方や,今なお夫婦喧嘩が絶えない(結婚してからむしろ喧嘩が増えた)など当てはまる方は是非読んでほしい。
本記事では,共働き世帯においてお互いのキャリアや夢,希望についてどう向き合うべきかそして夫婦円満に保つ秘訣について紹介する。
ハーバードビジネスレビュー2020年2月号『デュアルキャリア・カップルの幸福論』を参考に書いているので,興味のある方は購入して一読してほしい。
Contents
共働き夫婦が直面する3つの転換点
共働き夫婦は以下に挙げる3つの転換点に直面する。
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上に書いた3つの転換点は,訪れる時期が異なる。まず第一の『カップルのキャリアを両立させるとき』は若手から中堅時代の仕事へのバイタリティにあふれた時期に訪れる。
二つ目の『パートナーが自分の歩む道を考え直すとき』というのは,キャリアの折り返し地点に訪れる。例えば,40代くらいになると会社の期待に沿うようなキャリアより,自分でキャリアを切り開きたい気持ちになり,自分を変えたいと決断し勤務先の会社を辞めたり,逆に現状に不安を覚えて精神的に病んだりするいわゆる『中年の危機』と呼ばれる状態になったときである。
そして三つ目の『子育てが終わった後の二人の生活を考えるとき』というのは,キャリアでの成功や失敗など数多くのことを経験した後に,「果たして自分の人生はこれでよかったのか」と振り返った時に今後どんな人生を歩むべきかについて再検討するときである。
では,そもそも共働き夫婦にはどのような問題や課題があるのだろうか。例えば以下のような問題がある。
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自分が同じような状況に直面するかもしれないと思うと,不安になる内容ばかりだ。
次からは上に書いた3つの転換点に関してハーバードビジネスレビューに書かれていた実際のケースを紹介し,次にパートナーとの関係性を円満に保つ秘訣について述べたあとまとめを言いたいと思う。
カップルのキャリアを両立させるとき
(ケース) 夫の転勤と妻の妊娠,出産が重なった場合 (問題) ・育児支援サービスを追加しても間に合わないほど大変 ・妻の負担が多い ・夫は出張が多く,ストレスが溜まっている ・育児に関われない夫の妻に対する後ろめたさ(どう解決した?) ・妻が在宅ワークになる(会社は辞めずに) ・夫の職場に近いところに引っ越す(結果どうなった) ・妻は昇進機会を逃す ・妻は取り決めに不満を抱えるようになる (どうすればよかった) |
夫が転勤するタイミングと妻の妊娠,出産が重なるパターンはかなり厳しい状況と言える。妻の育児への負担とそれに対する夫の後ろめたさは容易に想像できる。
妻は育児でストレスを抱え,夫はそのストレスを溜めた妻へのフォローで仕事のストレスに加え更にストレスが溜まる。
このケースでは夫の収入が多いことから夫を優先して職場を引っ越したり,妻がテレワークになることで対処したが,結局妻は昇進機会を逃し,二人の間で決めていた取り決めに対して不満を抱えることとなった。
ではどのように対処すればよかったのか。
ポイント①:現実面にばかり囚われない
ポイント②:金銭面(給与)で決断しない
パートナーが人生を考え直すとき(中年の危機)
(ケース) パートナーが新しい道(転職先)を探したり、自分探しを始めた場合(中年の危機) (問題) ・なぜパートナーは満足してないのか疑問に思い、一方が孤独になる ・不満の原因が自分にあると思ってしまう ・不信感や警戒心が湧く (どう解決する?) |
それぞれが築き上げてきたキャリアがある中で,どちらか一方が転職のように新たな道を歩みたくなった場合や,自分のキャリアに不安を覚えて思い悩む場合などもまた難しい局面である。これまでのキャリアを積み上げていく過程で取り決めした二人の関係性を見直す必要が出てくる。
今までうまくいっていた関係性にメスを入れることはかなりのエネルギーを要する。場合によっては,過去に取り決めたことを考え直したいという思いが相手によっては『関係性自体も考え直したい』と離婚をほのめかす表現として捉えられることもある。
しかしながら,この転換点はうまく乗り越えることができれば,逆に2人の絆をより深めることができる局面でもある。
それではどのように解決すればいいのか。
ポイント①:パートナーは支援者であれ
パートナーが支援者となり,『安全地帯』となることでもう片方がのびのびと行動できるようになる。なので,パートナーは支援者となって相手の人生の見つめ直しや内省を促すとよい。
しかし,注意しておかなければならないこともある。それは,安全地帯になることで自分の希望を抑えたり,相手へのサポートに完璧さを求めたり自分を犠牲にするようなことをしてはならない。
ストレスにならない程度に,自分の時間を確保するなど心のゆとりをもって支援するのがよい。
ポイント②:2人が果たす役割について話し合う
自分探しをしているパートナーの求めるキャリアが明確になり、2人の関係に何が求められているかを整理できたら,次は2人の生活でお互いが果たすべき役割について話し合う必要がある。
子育てが終わった後の二人の生活を考えるとき
(ケース) ・パートナーが引退,もしくは離職したときなど人生の後半(問題)・お互いの歩みに関する後悔 ∟互いのキャリアをどう優先させたか ∟相手の成長をどう支えてきたか (解決方法) ・2人が歩いてきた道のりを確認し、新たな役割を担うことを約束する ・新しい役割を模索する中で、今まで積み上げてきた固定観念により視野が狭くなることは避ける |
引退間近になると身体も若いころのようにバリバリ動くことはできない。しかしながら,子育ても終わっており自分を見つめ直す時間もある。そこでこれからの人生をどう生きるかを考える。
今まで積み上げてきたキャリアやスキルがあるのでコンサルティングサービスを提供する事業を始めたりもできるし,全く別の活動(若いころにからやっている趣味)に没頭することもできる。
この転換点も新たに自分の人生を再定義できるタイミングではある。このような状況で夫婦はどのような関わり方をすべきか。
ポイント①:2人で一緒に新たなことに取り組む
一緒になって新しい活動やプロジェクトに取り組むとよい。2人がこれまでに培ってきたビジネススキルを掛け合わせて新しいビジネスを始めるなどもいいだろう。
ポイント②:役割の見直しを行う
ポイント③:固定観念を捨てて好奇心をもつ
良くも悪くもこれまで積み上げてきたキャリアの中で構築された関係性や物事に対する固定観念を一度捨てる必要がある。そしてもう一度子どもの頃のように好奇心をもって考えることで幸福度が高まる。
固定観念により視野が狭くなってはいけない。視野を広げて若い時の野心や可能性を思い出し自分の今後の人生について改めて考える必要がある。
夫婦円満を保つ秘訣
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1つ目は自分にとって何が大切か,自分はどんなことに幸福を感じるか,よりよい人生には何が必要なのかといったお互いの価値観を話し合う。2つ目は働きたい場所,住みたい場所,避けたい場所など自分の希望の境界線について話し合う。そして3つ目は将来どんな不安があるか,どんなことを恐れているか,生活で起きてほしくないことなど二人の間にある不安材料について話し合う。
パートナーとの関係についても頭に入れておきたいことがあるので紹介する。
パートナーとの関係は
- 主、副の関係を決める
- 主、副を定期的に交代する
- 主、主を絶えずやり繰りする
の3パターンあるが,どの関係を選んでもお互いの同意があればうまくいくようだ。この中で一番うまくいく関係は実は『3.主,主を絶えずやり繰りする』であるということだ。しかしながら,このケースは頻繁に熱い議論になるためそのたびに疲弊することが予想されるのでお互い理解の上でやり繰りする必要があるだろう。
まとめ
もう一度転換点について振り返る。
最初の転換点で2人の生活における役割を話し合い,様々なライブイベントに対処する中で、今度は役割が不満の種になる。自問自答を繰り返すうちに第二の転換点にさしかかり,次の第3の転換点でそれまでの転換点での後悔を反省して対処していかなければならない。
- 解決策は一つだけではない
- 何もかも五分五分にしない
- 常に好奇心を持ちコミュニケーションを密にする
- 互いの生活をうまく融合させるためにどうすれば良いかを選び取る
ということになるだろう。
かしこまった議論の場を作るのは少しハードルが高いので,普段の生活の中でお互いが意識して少しずつ話し合えばいいと思う。相手の様子を伺ってその場しのぎのコミュニケーションをするではなく,真心をもって相手と向き合い素直な気持ちで話すようにしよう。
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