【読書】ソフトバンク流高速PDCAを回して、業務スピードを高めよう!

読書

久々に書評を書いてみました。

 

今回はこちらの書籍。

書籍名孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきたすごいPDCA
著者三木 雄信
出版社ダイヤモンド社
読了日2017/11/27

 

こちらの書籍の著者である三木雄信氏は元々ソフトバンクの孫社長の秘書をやっておられた方で、その時の仕事術を書籍にして何冊か出版しています。

この著者の作品で初めて読んだのは『孫社長にたたきこまれた すごい「数値化」仕事術』で、当時社内の改善活動のリーダーをやっていた際にとてもお世話になった1冊です。

当時、自分たちの課題や改善目標をいかに数値化するか悩んでいたときに読んだ本で非常に参考になるところがあり印象に残っている作品です。

これを機にこの著者をマークしだして、そしたらバンバン本が出始めて今のところ『孫社長のYESを10秒で連発した 瞬速プレゼン』も含めて3冊読みました。

 

今回は、読んだ内容が実践できるように設計業務を例に使い方を考えてみました。

Contents

目標を立てたら実行に移す。複数実行する。

著者が言うには『ソフトバンク三原則』という仕事のやり方があるみたいです。

 

①思いついたことは,可能な限り同時に実行する

②1日ごとに目標を決め,結果を毎日チェックする

③目標も結果も,数字で管理する

 

何をするか、何をやればいいかを考えてばかりで何も進まないことってありますよね。

そういうときは、まずやってみる。そして複数やってみる。その中で、いいものを選んで進めていくというのが鉄則のようです。

 

実際に、複数やろうと思うとコストもかかったりしますけどね。例えば、開発業務で試作を複数作るとかは企業では難しので、そういう場合は、シミュレーションを複数条件で回してみるとかやってみるべきですね。

 

実行した結果は、その日のうちに確認して改善するのがいいようです。そうすることで、次のアクションまでの判断のスピードを高めることができ、結果的に業務効率が上がるということなんです。

 

そして③にあるように目標は数値で設定しましょう。

 

例えば、構造設計業務に取り組むエンジニアの場合を考えます。

開発業務は限られた時間の中で、要求仕様を満たすように設計を行う必要があります。あるキーデバイスの採用候補が複数ある場合、ハード的な問題としては発熱量が問題になることが多いです。この場合、候補となるデバイスの解析モデルを作成し、想定される発熱量を入力条件として解析するといったことが必要になります。

 

①思いついたことは,可能な限り同時に実行する

⇒採用候補となるデバイスの解析モデルをそれぞれ作成し熱シミュレーションを行う

⇒自分で1から作成した簡易モデルで比較する

⇒メーカが提供しているモデルをもらい比較する

※メーカが提供するモデルと解析ソフトが対応している必要があります

 

②1日ごとに目標を決め,結果を毎日チェックする

⇒自分で1から作成する場合と、メーカに解析モデルを要求して取得できるまでの時間を計測して、短納期で完成できる手段を取る。

 

③目標も結果も,数字で管理する

⇒納期を設定して、それまでにかかった工数を測定する

数字で管理できそうな指標:モデル作成時間、モデル取得時間、解析時間、メッシュ数とか

 

本では、営業マンが契約取るための例が書かれています。目標とする顧客との契約数を達成するために電話を使うのがいいか、メールを出すのがいいのか、実際に足を運ぶのがいいのか、対応時間などを計測して、一番いい方法を選んで実行していくなど書かれています。

 

開発業務に置き換えようとするとなかなか難しいです。

上に書いた熱シミュレーションを実行する例は短時間で効果的な評価や判断を下すにはいい題材ではないかと思います。

 

高速PDCAの考え方

本の中に高速PDCAと言われるものが紹介されます。

高速PDCA

①大きな目標を立てる(週、月単位など)
②小さな目標を立てる(1日が原則)
③目標達成に有効な方法をリストアップする
④期間を決めて、すべての方法を同時に試していく
⑤毎日、目標と結果の違いを検証する
⑥検証をもとに、毎日改善する
⑦一番すぐれた方法を明らかにする
⑧一番すぐれた方法を磨き上げる

 

これらの考え方を設計業務に当てはめて考えてみましょう。

 

①大きな目標を立てる(週、月単位など)

ナンバーワンになるためには、どうすればいいか』や『会社の目指す目標や現在いる部署が目指す目標の達成』をゴールに設定します。数値目標を設定し期間を設けることが重要です。

数値目標例:世界最小の製品(〇cm3)、世界最高速の製品(〇ms)、世界最高精度の技術(誤差〇mm)など

 

月目標:設計、試作、試験完了

週目標:仕様決定、設計完了、製作依頼完了

 

②小さな目標を立てる(1日が原則)

小さな目標は①毎日できる②具体的なアクションを設定します。

 

<仕様検討フェーズの小さな目標>

世界ナンバーワンの製品の、

・仕様書の項目、〇個仕上げる

・仕様書の章、〇章仕上げる

 

<実設計フェーズの小さな目標>

世界ナンバーワンの製品の、

・CADモデル〇個作成する

・解析モデル〇個作成する

 

<試験フェーズの小さな目標>

・試験項目、〇個完了させる

・試験報告資料、〇個作成する。(試験ごとに報告資料が必要な場合)

 

③目標達成に有効な方法をリストアップする

例えば小型化が大目標の場合、

仕様検討・過去作成した仕様書でひな形が参考になるものを集める
⇒フォーマット化されていれば資料作成が楽・調査会社に依頼して必要な情報を集めておく
⇒他社比較する場合は、他社スペックを調べる必要がある
設計・キーデバイスの候補をリスト化
⇒解析で必要なパラメータを洗い出しておく・冷却方法を洗い出す
⇒自然空冷or強制空冷・製作依頼先の候補をリストアップする
試験・あらかじめ設計段階で準備しておく
⇒信頼性データの取得
⇒Fit数の算出
⇒MTBF値の算出・基板パターンカット位置の指示・試験機器の複数台レンタルしておく
⇒複数人で実施できるように用意しておく

 

④期間を決めて、すべての方法を同時に試していく

解析モデルで複数作成して解析するというのは、すべての方法(解析モデル)を同時に試せる例かなと思います。

他にも、解析の妥当性を考えるために手計算と解析ソフトを使うなども一つの手と思います。

 

⑤毎日、目標と結果の違いを検証する

④の例で考えると、解析ごとにどのパッケージの製品と構造が一番小型化できるかを確認することになるでしょう。

Aというデバイスではヒートシンクサイズがこれだけ大きくなるとか、Bだと小さくて済むとか。

⑥検証をもとに、毎日改善する

数多くのパターンで解析や試験を繰り返して、どうすれば要求仕様を満たすかは日々検証する必要があります。

 

⑦一番すぐれた方法を明らかにする

解析で使用を満たす構造が決まる、試験に合格するなどは優れた方法(世界ナンバーワンな製品に採用する仕様)だと判断する。

 

⑧一番すぐれた方法を磨き上げる

例えば試作と量産設計など段階を踏んで開発する際は、試作で明らかになった課題を解決することが、一番優れた方法(試作した結果明らかになった仕様)を磨き上げることにつながると考えます。

 

普段の業務に例えて考えた結果

設計業務に掘り下げて考えるのは、やっぱり難しいですね。

 

いろいろ書いてみると、開発そのものが高速PDCAなのではないかと思ってきました。

大目標が新製品開発であれば、小さな目標が試作すること。試作パターンが方策で、複数の試作を作ってみて、一番いい仕様のものを採用する。

(この場合、コストがかかりますが・・・)

 

試験して検証する。課題があれば改善して試作する。

 

実は普段の業務がすでに高速PDCAだったのかもしれません。

 

会社だと、組織変更や上層部の決まりや社内政治などで動きが鈍くなることがあるかと思います。その中で、自分の業務を少しでもスピードアップできるように、この書籍で書かれたことを頭に入れて取り組んでいきたいものです。



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